2026/05/07

社会保険の扶養や第3号被保険者について思うこと

社会保険の扶養や第3号被保険者にかかるコストを他者が実質的に負担していることは、可視化すべきだと思う。

制度として存在すること自体は許容する。ただ、自分が何円分の費用を他者に負担してもらっているのかは、何らかの手段で通知されるべきだ。無料が当たり前という感覚でコスト意識が麻痺しているのか、負担している側への感謝もなく「改悪反対」などと言っているのを見ると、釈然としない。なお、本来支払うべき金額は、合計で1人あたり年間30万円弱とされる(Gemini調べ)。先日実施された物価高対策臨時給付金の10倍以上を、実質的に毎年受け取っていることになるがコスト感覚がない人間にはその実感はないかもしれない。

学校の授業料無償化や給食無償化についても、金額を一切示さないのではなく、本来の負担額は何万円だが免除しますという形で通知し、コスト感覚を持ってもらうべきだろう。コスト意識を求めることへの反発もあるだろうが、資本主義社会においては、コスト感覚を欠くことのほうが問題だと思う。

もう少し踏み込むと、社会保険や年金保険は本来、保険料を納めている人のための保険として設計されている。財源論は別途検討が必要だが、制度設計の筋論として、保険料の免除分は生活保護と同様に税で賄うのが合理的であり、費用の面では保険制度そのものと切り離して考えるべき。

この点は政治家が増税せずに済むために選んだ手段なのだろうが、実質的な増税で制度が相当歪んでおり方向転換が必要だろう。

2026/04/11

AI企業の未来と戦略について考える

最近、AI企業が最新モデルを一般ユーザーや開発者へのAPI公開を実施せず、特定のインフラ事業者やパートナー企業にのみにアクセスを制限するようになった。これは、AI企業の未来とソフトウェア市場の構造変化を生む。

最新モデルの非公開化について表向きは「サイバーセキュリティリスク」を挙げているが、これにより最新のAI技術へのアクセス権(LLM以外のシステムも含め)を持っている企業と持たざる企業の間に大きな格差を生じさせている。

最新のAI技術により開発コストの低減や開発スピードが大幅に上がればアクセス権を持たない企業と比較して追いつくことが不可能なレベルの優位性を持ち、アクセス権の有無が企業の価値を左右するような状況になる可能性がある。

仮に、最新のAI技術へのアクセス権が一部の企業のみで独占された場合、身内の企業に圧倒的に勝たせることで超高額な利用料を徴収して利益を最大化するモデルが成立し得る。独占禁止法などに引っかかる可能性があるがアメリカ企業同士でやられたら日本からは何もできない。

独自データやノウハウで他社との差別化するという話もあるが、一時的な差別化にしかならず、最新のAI技術が使えなければ負けることは目に見えており、最新のAI技術へのアクセス権を持つ企業でソフトウェア市場の寡占化が進む可能性も考えなければならない。

そのようなことにはならないと願いつつ、そういうリスクに備えなければならない段階になりつつあると感じる。

2026/02/14

ソフトウェア関連企業のバリュエーションが下落することは当然だと思う理由

ソフトウェア関連企業のバリュエーションが下落する本質的な理由は、AIによる開発工程の効率化に伴い、バランスシート上のソフトウェア資産(BS上に数字として存在しないソフトウェア資産も含め)の再調達原価が短期間で大幅に低下し、減損処理のリスクが高まる点にあると考える。

例えば、AIの活用によってソフトウェア開発の総工数が1年後に20%(※一部の試算では15~25%とされる)削減されると仮定する。この場合、技術的には1年待てば、現在の80%のコストで同等の機能を持つソフトウェアを開発できることになる。これは、既存のソフトウェアの資産価値が1年で相対的に約20%減価することを意味する。したがって、ソフトウェア開発への投資は、1年間で投資額の20%以上を回収できなければ、経済的な合理性が成立しない。

現実には、先行者利益や市場における独占的な地位、ネットワーク効果などの要因が存在するため、価格決定力のあるソフトウェアの価値はすぐに下落するわけではない。しかし、投資判断において、技術革新による資産価値の減少をリスクとして織り込むことは合理的である。また、仮で1年後に20%の効率化が進むことを仮定したが、数年後にはさらなる技術的な革新が発生し、さらに効率化が進む可能性も排除できない。このように非常に不確定要素が大きくボラティリティが高い状況下では、現在開発されている多くのソフトウェアについて、投資対効果の予測が困難である。

さらに別の要因として、労働市場の需給バランスがある。毎年、工数削減が継続すると仮定した場合、ソフトウェア開発の需要がそれを上回るペースで拡大しなければ、労働力の供給過剰が累積的に拡大することになる。その結果、余剰人員による案件獲得競争が激化し、単価の下落を引き起こす可能性がある。緩やかな工数削減であれば、需要の拡大や品質向上へのリソース配分によって吸収できると考えられるが、急激な工数削減が発生した場合、このリスクは顕在化する。投資家はこうした不確実性を嫌うためバリュエーションが下がる要素になり得る。

以上の理由から、多くのソフトウェア関連企業の企業価値は下落傾向に向かうと予想される。

但し、作りこめば作りこむほど価値が高まるソフトウェアであれば上記の指摘に当たらない。AIの未来のところでも書いたけど性能上限が無い分野は強い。とは言え、市場にあるほとんどソフトウェアは完成度が高く、浮いた工数で誰が使うのかよく分からない機能が追加されて逆に使い勝手が悪くなる可能性の方が高い。

2026/02/07

SaaS is dead についてメモ

論点的なもの
・AIによる開発工数大幅削減により、既存のソフトウェアの価値が実質的に大きく目減りする。
・AIによりデータ移行が容易になり、スイッチングコストが低下する。
・AIによる人員削減により、人に紐づくサブスクリプションモデルは大幅に収益が減る。
・AIに特化したAPIが求められ、人間向けのUIやツールは価値を失う可能性がある。
・AIエージェントがワークフロー全体を代替する可能性がある。

対策
・独自の情報やノウハウが必要な参入障壁の高いサービスを提供する。
・サブスクリプションモデルではなく、成果報酬型の課金モデルを検討する。
・AIに使われやすいサービス(APIを提供など)にする。AIに使われやすいサービスの形式は今後変わる可能性有りそう。
・AIエージェントを作ってワークフロー全体を行う(かなり難しい) 

SaaSに限らずソフトウェア開発業界全般の未来(5~10年後)について
・コーディング以外の開発工程もAIによる効率化が進み、開発コストが控えめに見て半分以下になる可能性が高い。何年後になるかはわからないが1/5とかそんなレベルになる可能性もあると予想。
・ソフトウェア開発の案件数は成長するが、それ以上に開発の効率化が行われ、開発人員の供給過多によりソフトウェア開発市場レッドオーシャン化。SIerとかは単価が押し下げられ苦しくなる可能性がある。
・ソフトウェア開発需要が爆発的に伸びない限り、1案件あたりの単価縮小が大きく影響し、ソフトウェア市場全体が縮小する可能性がある。
・楽観的なシナリオとしては、とても複雑で付加価値の高いソフトウェアを開発する流れになれば市場規模が大きくなるかもしれない。
・超悲観的に見ると、AIエージェントがAIが欲しいソフトウェアを自動的に作成する流れになったら人類の開発者がほぼ不要になる。