2026/02/14

ソフトウェア関連企業のバリュエーションが下落することは当然だと思う理由

ソフトウェア関連企業のバリュエーションが下落する本質的な理由は、AIによる開発工程の効率化に伴い、バランスシート上のソフトウェア資産(BS上に数字として存在しないソフトウェア資産も含め)の再調達原価が短期間で大幅に低下し、減損処理のリスクが高まる点にあると考える。

例えば、AIの活用によってソフトウェア開発の総工数が1年後に20%(※一部の試算では15~25%とされる)削減されると仮定する。この場合、技術的には1年待てば、現在の80%のコストで同等の機能を持つソフトウェアを開発できることになる。これは、既存のソフトウェアの資産価値が1年で相対的に約20%減価することを意味する。したがって、ソフトウェア開発への投資は、1年間で投資額の20%以上を回収できなければ、経済的な合理性が成立しない。

現実には、先行者利益や市場における独占的な地位、ネットワーク効果などの要因が存在するため、価格決定力のあるソフトウェアの価値はすぐに下落するわけではない。しかし、投資判断において、技術革新による資産価値の減少をリスクとして織り込むことは合理的である。また、仮で1年後に20%の効率化が進むことを仮定したが、数年後にはさらなる技術的な革新が発生し、さらに効率化が進む可能性も排除できない。このように非常に不確定要素が大きくボラティリティが高い状況下では、現在開発されている多くのソフトウェアについて、投資対効果の予測が困難である。

さらに別の要因として、労働市場の需給バランスがある。毎年、工数削減が継続すると仮定した場合、ソフトウェア開発の需要がそれを上回るペースで拡大しなければ、労働力の供給過剰が累積的に拡大することになる。その結果、余剰人員による案件獲得競争が激化し、単価の下落を引き起こす可能性がある。緩やかな工数削減であれば、需要の拡大や品質向上へのリソース配分によって吸収できると考えられるが、急激な工数削減が発生した場合、このリスクは顕在化する。投資家はこうした不確実性を嫌うためバリュエーションが下がる要素になり得る。

以上の理由から、多くのソフトウェア関連企業の企業価値は下落傾向に向かうと予想される。

但し、作りこめば作りこむほど価値が高まるソフトウェアであれば上記の指摘に当たらない。AIの未来のところでも書いたけど性能上限が無い分野は強い。とは言え、市場にあるほとんどソフトウェアは完成度が高く、浮いた工数で誰が使うのかよく分からない機能が追加されて逆に使い勝手が悪くなる可能性の方が高い。

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